詩人:千波 一也
幾重にも連なってゆく痛みの無言に慣れてしまうその痛みそれは誰にも明かせないから誰もがみんな重たく齢を重ねる褒美のような光の背には忘れられ過ぎた美しい輪郭が揺らめいている幾重にも歓びあって揺らめいている丁重に差し障りのない物語を憐れみながら己もやがてはそこに身を置く幾重にも降り積もってゆく白い穢れに清められてしまうその漆黒それは誰にも見つからないから誰もが小さな重みを護る