詩人:千波 一也
うつくしく帰れ、とはかない願いを込めたささやかな窓辺は永遠に失われないただし、代償はある例えばそれは老いる瞳例えばそれは老いる瞳の中のいつわらざる面影例えばそれは老いる瞳の外にしか生まれられない温度たち信じた末の迷いの空を一直線に雲がゆくだれにも剥ぎ取れない剥ぎ取るべきではないやわらかな羽が永続の輪をなぞりゆく