詩人:哀華
この列車は各駅停車
よし分かった
酷いもんで
飛び降りたのは
さっきので
81人目だったかな
何時かは皆飛び降りる
可笑しなもんで
私が乗ってから早数年
思い返したよ
冷えきっていた
空気が妙に光ってた
朝6時30分の
妙ちきりんな笑い声
満員の電車に揺られて
車内は寝息に
浸食されて
お隣いいですか
そう珍しくかけた
気遣い声にも皆
答えぬ始末
さっきから
体の置き場が
よろしくなくて
腕の重みが
驚くほどに
苦痛だった
この列車は各駅停車
終点は最期逝きです
途中下車は
不可能となっております
霞む目の玉
あの駅で急行に
乗り換えりゃあ
良かったかな
だって人より早めに
終わりにしたいもの
後悔ばかりが
頭をよぎり
昨日のあの言葉を
思い出してる
今日もまた始まって
今日もまた終わってしまう
例えばここに
居たくはないと
心から
望んだとしても
どこにも行けない
空へは飛べやしないんだ
絶対に
絶対に