詩人:花房優希
お願いよ、愛しい人
声を殺して泣かないで
もっと大声で泣いて、子供のように縋って欲しいの
独りで弱音を溜め込んだって
見ていてつらいだけなのよ
ねえ、泣いてしまうわ
いくら抱きしめたって、傷が癒える訳ではないんですもの
貴方の身体を抱きしめることで
その傷さえも受け入れているように錯覚できた
その度に、傷を負った身体は悲鳴を上げていたことも知らずに
その痛みに酔い痴れていたのは私
何も知らない振りをした愚かな私
とても滑稽ね
結局可愛いなのは自分なのだと云ってるみたい
貴方を愛しいと思っているのにね
でも駄目なのかな
他人だから、いちばんには出来ないのかな
何よりも大切に思うことは
出来ないのかな
泣いているのなら、涙を拭ってあげたい
悩んでいるのなら、話を聞いてあげたい
苦しんでいるのなら、その重みを取り払ってあげたいのに
全部、自己満足でしかないのかなあ
貴方が好きです
貴方が大好きです
とても愛しいんです
でも寂しいんです
きっとこの手は届かない
(すれ違うのは想いじゃなくて、)