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[73534] 伸ばした手

詩人:花房優希

お願いよ、愛しい人

声を殺して泣かないで

もっと大声で泣いて、子供のように縋って欲しいの

独りで弱音を溜め込んだって

見ていてつらいだけなのよ

ねえ、泣いてしまうわ

いくら抱きしめたって、傷が癒える訳ではないんですもの

貴方の身体を抱きしめることで

その傷さえも受け入れているように錯覚できた

その度に、傷を負った身体は悲鳴を上げていたことも知らずに

その痛みに酔い痴れていたのは私

何も知らない振りをした愚かな私

とても滑稽ね

結局可愛いなのは自分なのだと云ってるみたい

貴方を愛しいと思っているのにね

でも駄目なのかな

他人だから、いちばんには出来ないのかな

何よりも大切に思うことは

出来ないのかな

泣いているのなら、涙を拭ってあげたい

悩んでいるのなら、話を聞いてあげたい

苦しんでいるのなら、その重みを取り払ってあげたいのに

全部、自己満足でしかないのかなあ




貴方が好きです

貴方が大好きです

とても愛しいんです

でも寂しいんです



きっとこの手は届かない

(すれ違うのは想いじゃなくて、)

2008/04/26 (Sat)
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