詩人:中村真生子
窓の結露を人差し指でこすれば窓辺の景色は思い出のように滲みせんなきことばかり心に映る。雪の夜、足跡、コートの背中…。それから幾つの冬を重ねたことだろう。窓の結露を人差し指でこすれば滴がひとすじ。せんなき涙のように心に流る。