詩人:緋文字
まなこ遭わせれば
そこに女が在って
捕らえようにも
引きずり出せず
のうのうのさばる女
ここにおる限り
お前には届かんと
言わんばかり
一瞥したきり
こちらには目もくれず
そこにおる女ぬくぬくと
心地がよさそうで
脳裏に焼き付く白い太腿
恨めしい、と唇噛んだ
眼前の鏡にうつる女
よくよく見比べてみても
見開く眼、唇の紅さは強くとも
その女と爪の型まで姿は似ていて、反る足指
チラつく残り画に
キィィと袖を噛んだ
何が違うのか
あの場所へ移りたい
まなこの主が
勤めのように努めてくれる御蔭で、おる女も忌ま忌ましい顔付きで居られるだけなのだ
何が違うと言うのか
このまなこに映る女
あの場所の女とは似て異なる
早う あの女の姿が見たい