詩人:三歩
「風をつかむのは簡単で
ただ手を伸ばせば
きっとそれだけですむこと。
風の本質だなんて
そんなことは知らないけれど。」
心の空洞に
暖かい風が流れ込んだなら
それで全てが埋め尽くされる
そんな錯覚で
僕はこれまで
むやみに風を追いかけた
だけど風の足首は
思ったよりも ずっと向こうだった
移動性高気圧
砂埃に紛れて
僕の心拍までも巻き上げる
カーナビも
方位磁石もいらない世界で
僕はただ
その場でゆっくりしゃがみこんだ
手が届かないと知ったから
この手の持って行き先が分からなくて
せめてこの両手
指を絡めて
しっかり祈るよ
誰かお願い
風の棲み家を教えてよ