詩人:芥子、
かなしいのは生きているから
ときめくのも生きているから
深呼吸のあとで空をみた
どうでもよくなってどうでもよくなった
私の心に生きる幻想が
私の体を生かしている
目の前を素通りする群れは
マネキンなんかじゃないから
おなじように血と汗と涙を流す
おなじようにここで月を見る
ここで繰り広げられる
すべてのことに
無駄なものなんて何一つ
ないと信じることができたら
あらゆる困難も逆境も
それもまた愉しめる気がしたよ
今を消費しつづけて
振り返る過去を築いてく
確かなそれぞれの痕跡が
この世界の一部になってゆく