詩人:遥 カズナ
吹奏楽部で使っていたホルンを押し入れの奥から引きずり出したケースの留め金に触れじんわりと呼び覚まされたカビ臭い真鍮に金色のメッキを施された記憶と感触取り出したあいも変わない無骨な異性とキスをかわすようにマウスピースだけ口先にあてがい「プー、プー」とさせてもう片手に掴んでいた缶ビールから水滴が足の甲へしたたり落ち冷たく感じた単純で無駄のないメロディーを想うもう、何も考える必要すらいらないまま、