詩人:理恵
無理に形づくろうとして
足元ひっかけてすりむいた
痛くて痛くてたまらない
足ひきずりながら、歩いた夜
声の出し方も
ステップの踏み方も忘れちゃいないよ
ただ、誰かの顔色を窺いながら
うたううたに意味はあるのかい?
もどかしくも初々しいうたを
久しぶりに聞いたら
あの日に戻れるわけもなく
先に進んだ自分に気づいた
人間なんていつまで経ってもちっぽけだ
周りが完璧に見えるくらいには
心の中には
黒い塊だってある
あの日にすりむいた場所は
痣になってもう消えない
それでも歩いていくんだ
泣きたい夜には
うたに助けを求めて
うたえない夜には
別の道をさがして
2019.11.25.