詩人:サエ
久々でもかまうことなく
わたしを抱きしめる腕に迷いはない
会いたかったと
抱きしめながらあなたが溢した
ねぇ
よっぽどわたしの方が逢いたかった
全部欲しいと
瞳をとじてあなたが漏らした
ねぇ
とっくにわたしの全てを拐っていった
時計の針は
あなたとわたしのときばかり
やたら早足で
どれだけ願っても
止まってさえくれない
あなたの感覚を反芻しては
乱れた心を押さえつけ
あなたの声にさぇ反応する
冷えた身体を縮こませ
あと幾ら刻が経てばと
ひたすら画面に訴えかける
あなたをひととき手にする為に
ピアスを片方なくしたみたい