詩人:矢井 結緒
真夜中に目覚めた乳飲み子のように閉ざされたドア握った拳で叩くけど傷が増えてくばかりその向こうに何があるのかわからないまま焦りだけが背中に付き纏うあなたが選ばなかったわたしを抱えてただ立ち竦んでいる弱さはあなたに辿り着くための灯火ならば暗闇でいい見えないものなら手探りで掴めるこの覚束ない足取りで闇と光を互い違いに履いて今歩き始めよう踏み出さなければ1ミリも動かないあなたが作ったわたしだけいない世界で