詩人:理恵
西日の差し込むカフェのすみ一人の客が出ていったもうあとは厨房から聞こえる食器のぶつかる音だけ私は最初から一人だったあの人も一人だったただ、肩の痛みが本の世界に入ることを許さないから私はあの人を見送っただけこれがコロナ禍か、と感傷に浸るふりしても私は一人だった最初から一人だったこの世に生を受けたとき誰と繋がっていたか思い出せない光の沈むカフェの中は不自然なほど落ち着いていた2021.8.25.