詩人:高級スプーン
私は欠けている
生まれる前に転んだ傷
生まれてからついた傷
そういうものから
目を背けたり
直視したりするけれど
一度欠けた部分は
二度と戻らない
傷つかないように
覆い隠したり
わざと剥き出しにして
傷ついたりする
何をしているのだろうと
立ち止まっても
しばらくすると
また歩き出す
ぐるぐるぐるぐると
廻り続ける
私は欠けることが
好きなんだろう
本当に
好きなんだろうか
本当は
言葉を濁し
自分を汚さない
不意に呼ばれて
振り向いたら
また欠けた
2005/03/20 (Sun)