詩人:アル
きみが浮かぶためにぼくが一人沈む事はないそうなったらきみにぼくの亡霊を背負わせる事になるからふたりが一緒に水底で横たわる事はないそうなったらぼくはきみを結局は掬えなかった事になるからそれぞれが共に水面で浮かぶしかないんだ非力なこの腕でも一度握ったその手を今さら離せるはずもないきみのためにぼくを終わらせるわけにはいかないそしたらきみを守れないから無様に生き延びてしがみ付くんだこのささやかな命に