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詩人:チェシャ猫
止まった世界に舞う花びらのように
ひと時だけでも美しく在れたなら・・・
始まりも終わりも曖昧な夜に
穢れた蝶は居場所を失くした
傷ついた羽を引きずりながら
まだ温もりを求めてる
何が変わり何を喪い何を手にしたのか
当てもなく彷徨う世界の中で
君だけは正しく揺れていて
存在さえも不確かな喧騒の中で
君だけは僕の居場所でいて・・・
愛しさも憎しみも交じり合う胸の中で
零れた涙は乾いていった
決して一つにはなれぬ二つの影が
狂おしい程に求め合う
何を求め何に惑い何を捧げたのか
心すらも売られてゆく世界の中で
君だけは僕の傍に居て
神にすら縋れぬ罪の意識に抱かれ
それでも君は艶やかに咲いていて・・・
狂った世界に舞う花びらのように
ひと時だけでも美しく在れたら
散りゆく悲しみの中で
この手だけは離さずにいられたら・・・