詩人:理恵
はらりと一つ、雪が落ちる
つららは下に下にと伸びていく
鋭く尖る冷たい刃は
透明な光を帯びたまま
私の知らない合間に
世界は動く
蠢いている
未知の敵に翻弄されて
いつの間にか消えた境界線にも
私たちは気づかない
こんな時ばっかり
こんな時ばっかり
優しさなのかもわからない
厳しさなのかもわからない
今までの綺麗事の浅はかさだけが露呈して
真実は濁りを増していく
五回変化する魔王より
現実はいくらだって変化する
そのうちただの文字だったのが
言葉を紡ぎ星座になり
私たちに迫ってくる
と、学者は言う
私たちはきっとまだ
迷い続ける
この声を枯らして
その涙が涸れるまで
2022.1.27.