|
詩人:山姫
誰も棲めない荒野に根を下ろし
誰も耐えられない孤独の中で高らかに歌う
俺は孤高のサボテン
この世界はとがった強いやつしか生きていけない
そう思ってきた
だから俺は強いと思って生きてきた
夜にしか現れないあいつは違った
ひょろっと貧相なのに青白くとがってやがる
まんまるなのに堂々とした黄金色してやがる
「こんばんは。いい夜ですね」
こんなとこには似合わない弱い光なんか放ちやがる
お前は俺が怖くないのか?
硬くとがった俺が怖くないのか?
「そんな事はありません。あなたはそうやって自分を守ってきたのでしょう」
不覚にも涙が溢れた
強がってとがって生きようとしてきた事
寂しさを紛らわそうと一人で夜な夜な歌っていた事
あいつは全て受け入れて見守っててくれたんだ
天上に輝く優しいMoon
「弱さ」って強さがわかった今の俺なら
咲かせる事が出来るかな
あの時のお前に似た強く優しい白い花を