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詩人:剛田奇作
君は、会うたび私の知らないことを話す
お蔭さまで
こっちは妄想のスパイラル
まがりなりにも張り付くプライドのせいで
君に真実を確かめることもできず
君に感づかれないよう、そっと歳をとってく
いつも初めて見る服を着ている君
私たちが会ってない、新鮮な証拠
「仕事は上手くいってる?」
「そうなんだ」
「君のお嫁さんて、相当風変わりなはずだよね」
君のアパートのユニットバス
漂泊剤…ツンとした匂い だった
殺風景な部屋の冷蔵庫の上に
私が気まぐれにあげたサボテンが枯れずにちゃんとあった
来れなくなるならメールくらいちょうだい
でなきゃこんな遠い街のパーティーなんかにこないわよ
弱くて、私からは聞けない
君だけに会いに行くほど強くもない
ねえ、
君の部屋の
願わくば、私は
サボテンの埃になりたい