詩人:チェシャ猫
もう数えることすら諦めた夜がまた明ける
繰り返し羊を数えて見ても
訪れるのは累々と重なる屍と無益な時間だけ
誰か安息を与えて頂戴
私は不眠症の眠り姫
ねえ私にこの名を与えて塔に閉じ込めたのは誰??
御伽話程に現実は美しくはない
王子様のキスよりも睡眠薬と安眠枕を頂戴
ホットミルクも忘れずに
美貌なんてとっくに枯れ果てたわ
ひび割れた鏡に映るのは
目の下に大きな隈のある自称元お姫様
ねえ物語の中の私はそんなに美しいの??
そりゃ毎日好きなだけ寝て暮らせるのなら
私だって見目麗しいお姫様
ねえ私のお話は世界中で売れているんでしょう??
そのお金で私の病気を治して
代わり映えの無い毎日をどれだけ繰り返せば
私は覚める事の無い眠りに就けるの??
物語の中のようにとこしえの眠りを得たらならば
王子様どうか私を起こさないで頂戴
もし起こしたら
高級なヒールで蹴飛ばしてしまうから
そんなことよりも王子様私を見つけたならば
キスはいらないナイフを突き立てて
誰か私に睡眠薬と安眠枕を頂戴
私は不眠症の眠り姫。。