詩人:中村真生子
目が覚める。町はもう目覚めているのだろうにひっそりと静かで陽はもう昇ってるのだろうにまだほの暗く…。子守唄のような柔らかな空気が部屋を満たしている。こんな日は決まって雨が降っている。起き上がって外を見るとやっぱり雨。海を、大地を、家々を慈しむように粉ぬか雨が降り注ぐ。窓を開けて雨の匂いを楽しむ。また少し春を連れてきた雨の匂いを…。