詩人:さみだれ
幻は言った
"もう戻れない
君の言う時間や距離は遠すぎるの"
朝明け方の雀のように囁いて
どうしたって喜べない
だから夜のままで
"月と太陽は会えないの"
君が月か
俺が太陽か
わからないと悩んだことは
無駄だったのか
消えかけてる
はじめからいなかったように
いっそ俺も幻でありたい
はじめからいなかったように
"バイバイ"
幻は言った
楽しかった夕焼けの終わりに
"お父さんいないの"
幻は言った
静謐な部屋の前で
"ずっと一緒にいようね"
幻は言った
星明かりの中、手を握って
それから…──