詩人:どるとる
言葉にもならない夜は
睡魔さえぼくを眠らせてくれない
羊を数えようにもイメージさえ浮かばない
眠れないから
窓開けて
夜風にでも吹かれようと少し涼しくなった
8月の終わりの風に抱かれていた
どうしようもないほど涙降り積もる夜
それはまるで季節はずれの雪のように溶けては消えてしまう
季節は観覧車のようにまたはじまりの場所に戻るよ
そして何度も
繰り返す日々
並木道に茂る緑の木々もやがて枯れ木と変わる
ポケットに手に入れ
汚れたスニーカーでゆっくり通り過ぎる夏
移り変わる
新しい季節が気づけばそこまで近づいてる
耳をすませば秋の足音がきこえる
ほらね鮮やかにぼくの胸の中 夕色に染まる
日は少し短くなる
夜の闇が深くなる
エアコンの冷房もそのうち暖房に変わるだろう
新しい季節が気づけば知らないあいだに隣にある
ぼくは素知らぬ顔して口笛 ひとり吹く
黄昏の中 夕日の朱色に頬を染めて
ふいに何気なく涼しくなった風の変化に気づいて 立ち止まる 夜の片隅
帰り道の途中
なるべく明るい場所を探して 家路を向かう
見上げた空にはいくつもの星がまたたくように輝いていた。