詩人:剛田奇作
かつて人々が野性の動物の中に神の姿を見たように
動物はみな神聖なものだ
彼らは自然界において
絶対の掟に従って生きる
己の命が燃え尽きる時でさえ
血の一滴にいたるまで他の命の礎になりながら
潔く大地に還るだろう
その姿は美しいだろう
一方で人間は窮地に追い込まれたら
自分が死に値しない理由を箇条書にし
温かいベッドの脇に張りつけるだろう
そして私が、窮地に追い込まれたなら
ぶざまな醜態をさらして
狂い泣き
言い訳をするだろう
生という母の裾をわしづかみにし
偽りの笑みを浮かべ
へつらうだろう
そして息絶えた後も
私の髪の毛じゃヒナドリは冬を越せないだろう
私の皮じゃ楽器を作ることはできないだろう
私の剥製じゃ、金にならないだろう
私の体は黒く
異臭漂う油となり
燃料にすらならない
油となり
神聖な
清らかな大地を汚すだろう