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詩人:どるとる
君と過ごした季節が過ぎたら
僕はもう人を愛すことができなくなった
サヨナラという言葉がまるで
何かの呪いでもあるかのように胸の中にいつまでも
消えずに煙をたてているよ
君が乗ったバスが少しずつ小さくなってゆく
思い出も遠ざかる
悲しくないわけはないよね
でも涙は思ったより
流れなかったよ
かわりに何かひとつ自分の中で壊れる音を聴いた気がした
あとにはただ木枯らしが吹いていただけ
思い出せるのは木枯らしが吹いていた事
君の笑顔がこのごろイメージできなくなったのは何かの合図かな
忘れられない恋さ
でも忘れなければいけない恋でもある
だからサヨナラ
影のように
実態を持たない
悲しみよ
胸のいちばん奥で
燃え尽きておくれ
愛し合った記憶
痛みをともなう在りし日の輝き
光と影の中を生きる僕
黄昏の中へ逃げても
過去はぬぐい去れない
ああ 優しかった君はいずこ?