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[161069] あとにはただ木枯らしが吹いているだけ

詩人:どるとる


君と過ごした季節が過ぎたら
僕はもう人を愛すことができなくなった
サヨナラという言葉がまるで
何かの呪いでもあるかのように胸の中にいつまでも
消えずに煙をたてているよ

君が乗ったバスが少しずつ小さくなってゆく
思い出も遠ざかる
悲しくないわけはないよね

でも涙は思ったより
流れなかったよ
かわりに何かひとつ自分の中で壊れる音を聴いた気がした

あとにはただ木枯らしが吹いていただけ

思い出せるのは木枯らしが吹いていた事

君の笑顔がこのごろイメージできなくなったのは何かの合図かな

忘れられない恋さ
でも忘れなければいけない恋でもある

だからサヨナラ
影のように
実態を持たない
悲しみよ

胸のいちばん奥で
燃え尽きておくれ

愛し合った記憶
痛みをともなう在りし日の輝き
光と影の中を生きる僕

黄昏の中へ逃げても
過去はぬぐい去れない

ああ 優しかった君はいずこ?

2010/10/07 (Thu)
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