詩人:そほと
観音堂の水は
予想外に甘く
それは物質外で初めての
実体を伴う甘さで
観音堂の水は
小さな湧き水で
一人用の大きさしかなくて
歪なひしゃくなど置いてあって
古戦場の故事など読んできた私は
( いいえ たとえ読んでいなくても )
心細く屈み込んでいて
奉られているのは
千手観音で
水を飲むにしても
ふさわしい手が在るのだろうな
私には2本の手しかないので
この手で飲んだのだが
おこなえば
それがふさわしい在り方だと
あの甘さは千手観音の
微笑みだったのだな
2009/02/03 (Tue)