詩人:中村真生子
ほんとうに久しぶりの青い空。
まだところどころに雪が残る
温泉街を抜けて
いつものカフェに向かう。
風は冷たいけれど
空は青く美しく…。
ふと見上げるとロウバイの花。
山茶花の赤や白ばかり目につく通りで
眩いばかりの黄金色。
咲いていたのは
廃業となった旅館の玄関先。
いつの頃から誰のためともなく
花弁をほころばせることが
常となってしまったロウバイたち。
今年もひっそりと
けれど楽しそうに咲き誇る。
美しい花を咲かせたことより
美しく咲こうとした自分を愛しむように…。
2012/01/31 (Tue)