詩人:地獄椅子
獣の目をしてて、透き通っていて、やさしくて、傷つきやすくて。
想いを通り越して、何かの神秘すら感じる。
うつくしくて、濁っていて、渇いてて、淀んでいて、みずみずしくて。
世界の端々にまで行き渡るような、言い知れない情感。
僕が年をとって、君も年をとって、違う時間を歩んでくことになっても、君みたいな人には、もう逢えないと思うんだ。
かなしみを知ることでしか、しあわせになれなかった。
誰かを憎んでしか、誰かを愛せなかった。
君を傷つけてしか、君を守れなかった。
ごめんね。ごめんね。
ありがとう。
滑稽なクレイジー・ラヴ。
君がよく歌ってた『イエスタデイ・ワンス・モア』
あの時はよく見えかなったんだ。
わかってるようで、わかってなかったんだ。
あんなにやさしい歌があること、聴き逃していたよ。
それは君が口ずさんだ、わかれの歌。
涙を流したのは、随分時間が経過してから。
“大切”を知るのはいつも、失くしてから。
ごめんね。ごめんね。
ありがとう。
僕は年をとりすぎた。
君をもう思い出せない。