詩人:野上 道弥
立ち並ぶビルの窓から
四角い朱い光が僕達に降り注ぐ直前のお話
僕らはずっと繋いだ手を少し離して
眩しい夕陽から逃げるように歩いて
ビルの影に人目を避けるように入った
隠れてキスをしてた
長い長いキスを隠れてしてた
四角の朱の光が僕らに差し掛かった
もちろん気付かなかったけれど
影から出た僕らは腕を組んで歩いてた
長く長く伸びた影は一人の姿しかない感覚だった
真夏の夕陽はまだまだ暑く眩しい
忙しない人の流れは逃げるように速い
僕らに流れる時間はなんて遅い