詩人:遥 カズナ
夜の浴室にはバスタブがありチャプチャプと水の中にあるなにもないようないけないような哀しみが目を細めさせたがる誰も知らない近さや遠さは栓を抜いてさえしまえばとりかえしのつかない繰り返しへと吸い込まれもう指先を差し入れても間に合いはしない湿った手の甲で唇を拭くように撫で暗闇で呼吸を繰り返すだけだ