詩人:mina
あのベンチ
あの日キミに
『ちょっと待ってて』と
座らせた
木のベンチ
キミを残したまま
アタシは
忘れ物を取りに帰った
急いだ
とにかく急いだ
待ってくれている
キミが居たから
キミの元へ
戻った時
キミが居た
夜の住宅街
優しいオレンジの外灯
ぬくもり溢れる木のベンチ
少し冷たい夜風
キミは笑顔だった
いつものように
右手を差し出し
アタシの左手と繋ぎ合わせ
2人は歩き出した
普段あのベンチは
誰も座らない
お年寄りも
子供も
座ってるとこ見た事がない
だから
だから余計に
キミを座らせた事
後悔してるんだ
あのベンチを見るたび
あの日を思い出し
居ないはずのキミを探す
寂しさに襲われ
切なさと後悔を噛締め
あのベンチの前で
今日も立ち止まってしまう
そして想うんだろうな
【キミはもう居ない】と