詩人:ヒビト
むかし君と交わした手紙
机の引き出しを埋めている
それが無ければ机の上は これほど汚くならないだろう
むかし一緒に撮った写真
押し入れに積み重なるアルバム
それが無ければ新しく棚を買う事も無かっただろう
むかし一緒に遊んだ記憶
僕の頭を埋め尽くす
それが無ければ僕はもう少し物忘れをしなかっただろう
もう二度と必要にはならないだろう
いつか存在すら忘れ去られてしまうだろう
捨ててしまってもいいものだろう
思い出とはこんなにも無意味なものだというのに
思い出の品とは僕の邪魔しかしないというのに
それが僕には捨てられない