詩人:亜子
秋 暮れて
ものさみしげに
ぶらさがった君は
柿の実の横顔
鳥のくちばしから
身をくねらせて
色づいたのに
枯れ枝を揺れるままに
君の望む手じゃないけれど
もいでもいいか
橙の頬におりた霜を
ぬぐってもいいか
指でつぶせるほど
あきらめに熟れた君が
いちょうの葉と画策して
飛び降りる
その前に
金色の外套は
いつかの西の空
名残おしい君の横顔
あかぎれのこの手が
ひっかくとしても
もいでもいいか
連れていってもいいか
眺めている僕の足元で
まろび行く木の葉が
冷たい人と
言う前に
2006/09/18 (Mon)