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詩人:トケルネコ
星の無い夜に言葉が一つ流れていった
アレは誰のものか
オレは知らない
ダレも知らない
月の凍る未明に言葉が一つ固まっていた
コレは何処のものか
オレは知らない
ダレも知らない
沿線の乞食が言葉を二つ売っていた
ソレはいつのものか
オレはまだ買えない
淋しい目の少女が一切れ買っていく
海峡の船が瑞々しい言葉を幾つも獲っていた
アレは何処へ行くのか
オレは手を振った
浅黒い男たちがゆっくりと振り返した
赤道直下のマンホールに言葉がフッと滑り落ちていった
ソレは俺のものだと
ダレもが手を伸ばした
オレにはもう届かなかった
オレにはもう…伸ばせなかった