詩人:望月 ゆき
もうずっと
その海に
肩までつかっている。
初夏の陽射しが溶け出し
揺れる波の
浅葱色
ここちよさに
もう このままでもかまわない、と
錯覚するほど。
雨が振り出しても
揺るぐことなく
肩までつかったままで
やがては
髪も肌も
溶け入る。
それを待っているのかもしれない
頬ではじける波しぶきの
冷たさが
ナミダ
目が覚めたら
こにはいられない
遠くの島まで泳いで
広葉樹の下で
雨宿りしよう。
揺さぶるのは 波
やがて
枯れる 海
涸れる ナミダ
2004/07/31 (Sat)