詩人:トケルネコ
落ち葉に舞う椅子の写真
秋風がサフランの匂いを窓辺に飾る
ただクチビルで話す事と 喉を震わし祈る言葉は
千の針を呑み込むほど 違うものね
貴方はまだ忘れたくないと 世界地図を眺めてるけど
幾億の流れ星の去き着く場所なんて みつからない
それは名前の届かない風景
美しい波紋が流れることもなく
硝子の夜空に映っている
誰がダレの灯を奪うのか
神サマは綱引きの一方にはいないのよ
それは涙では溶けない秘密の物語
だから 時計の針を止めてばかりの手に
傷つき震えてばかりの紅い指先に
もう一度だけ最後のキスをさせて
貴方はまた取り戻したいと宇宙の果てを想うけど
幾億の流れ星の始まりでは 誰もずっと一緒なのよ
ただ 何度も夜は訪れるから
声を掠う秋風はクチビルを乾かすから
そっと祈ることしかできないと
空っぽの椅子に飾る影の重みが
柔らかく歩みだすことを許さないのね