詩人:中村真生子
敬老の日。
母へのプレゼントは
「トロピカルレッド」という色の口紅。
渡すと
「もうなくなりそうだったので
死ぬまでにもう1本買わなくては
と思っていた」と言う。
使うのは出かける時くらいだが
その回数も減ってきた。
「80過ぎですけど〜」と
お店の人と相談しながら選んだ
ほんりピンクがかった紅い口紅を
母は塗ってみながら
心にも紅をさしているのだろうか。
嬉しそうに顔が輝く。
詰め替え式になっているので
最後の1本と言わず
またプレゼントできればと願う。
2012/09/17 (Mon)