詩人:剛田奇作
白い壁にあてた手のひらはすごく頼りない
昼間なのに壁だけが明るい小さな部屋
薬指より人指し指のが長くて三角のツメの尖った
愛しい私の手
今度
生まれかわる時は青ぞらになる
私は青さそのもの
青いかたちをしていたいのは私の手のひらも同じらしい
今度
私が私を思い出すとき
白い部屋のずっと向こうの
森の
遥か上空で
きっと青く
薄く
広がっている
プチプチした濃い緑たちを
見下ろして
アヒルのくちばしに反射したり
私は遊ぶ
湖面でうたた寝もできる
今は
手のひらと一緒に
青の陰を探すだけ
そうして
地べたに寝るだけ
暖かい地べたにも
高い青ぞら
反射して