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詩人:A
赤茶けた壁の真ん中に
真っ暗な空が浮かぶ朝
おはようの替わりには
謝罪の言葉を繰り返す
盲目の気概を形どって
ネガ色の記憶を千切る
最早フォルダは空です
絶望ではない
期待に近い
眠気なのか
慕情なのか
塩素の匂い
抜けるような痛み、
片側に
ドップラー効果
ドップラー効果、
遠くなり近くなる
近づいて遠ざかる
迷子の感情
テーブルの上の冷たい
紙切れだけが真事で
声が欲しいと叫んでも
満たしているはずの温
もりに勝てるものなど
ないと言われれば
ああそうなのかな。
と思って仕舞うのが
愛しさの欺瞞であると
いうこと。