詩人:黒夢
小さな頃の写真を引っ張り出して眺めてみる。
無邪気に笑っている写真や、思い切り泣いている写真や。
自分はこんなにも小さかったと、見た目も、中身も。
今の僕には到底真似できないような表情ばかりで。
純粋。
という言葉がよく似合う。
そりゃそうで、今の僕は醜い感情ばかり渦巻いていて。
懐かしい、と思った。
でもそんなことを思うほど、僕は長い間生きていない。
きっと、簡単に振り返ることのできる短い僕の生きた道。
苦労したことなんてあんまりないかもしれないし
僕の言う苦労は親の世代にしてみれば
只の我侭に過ぎない。
それを認めて欲しいと言うのは、無理がある。
それでも、僕には僕の理屈があって
只の屁理屈にしか聞こえないかもしれないけれど
僕なりの価値観と言うものだってある。
こんな我侭なことを考えてるのは
昔と変わらない。
只、少しだけ口が達者になっただけ。
結局、成長したのは見た目だけなのかもしれない。
我侭な所も、僕の短所も全部
昔と変わらない。
否、以前のような純粋さは今の僕にないけれど。
これから、もう何年か経った時
僕はまた同じことを考えているのだろう。
こうして写真を見ながら、変わらないと笑って。
その時はまた、少しだけ口が達者になっていて
やたらと長い御託を並べているんだろう。