詩人:中村真生子
朝、山を越える列車に乗る。田んぼは実りの季節を迎えて金色の輝き、あるいはすでに刈り取られ、山間のそば畑には一面の白い花。実りの秋が車窓に広がる。東側の窓を見るとカーテンが閉められていた。その隙間から絞りたてのエキストラヴァージンオリーブオイルのような黄金色の光が床にとろりと流れ込む。列車が揺れるたびにとろりとろりと…。列車の床も実る秋。