詩人:あいる
ミカンを剥いて爪が黄色くなってタイムスリップ
行こうかな
隣人のイヤフォンから洩れる細い痛み
天才が剥離、
そのメッキを抱いて抱いて
薄力粉みたいな憂鬱のペダルが対称的に回るボクの上
擦り寄る黒猫は
ミルクの匂いがした
どこまで逃げたって
上手に隠れたって
陽はまた昇る月は沈む
君の手を追いかけて飛ぶよ
膝を擦り剥いて傷はオレンジに染まってタイムスリップ
行こうかな
手紙を入れたボトルみたいに投げた瞬間にゴールは見えてた
発色する天秤は重りなんかのっちゃいなかった
君の下敷きに反射した光の影は
プールの水面によく似ていたんだ
シンバルの一撃にかけて
いま、世界を産むよ