詩人:剛田奇作
背の高いシンちゃんは
黒いコートが良く似合ってた
ソーセージを食べる時
箸で刺してたべた
日曜日はフードの着いたトレーナーを着て自転車に乗っている
シンちゃんの指は
水の香りがした
ジャガリコをよく食べてた
藤のいっぱい垂れ下がる公園で
茂みの中に入って行った
誰も入らないような場所
小道があって
昼間だけど
真っ暗な茂み
急な下り坂
シンちゃんの 背中とフードを掴みながら
着いていった
私達は何もしゃべらないまま
やっと降り立った広い道
観光客がゾロゾロ通る明るい場所
私達はみんなの中に混ざって
きっと
ありきたりなカップルに見えていた