詩人:高級スプーン似
ありふれた日常に
きみを好きになる
ありふれた感情で
ぼくは好きになる
難しい言葉は要らない
比喩なんて使わない
きみが好きだよ
愛してる
直球のラブソング
心に届いて治るなら
真面目にまともに
生きてけるのに
その脚じゃ無理だよ
お医者さんは諦めている
夜
窓から
病室を抜け出して
自転車置き場へ
骨と皮だけの脚
ペダルを踏んで
クスリを飲んで
出発だ
逢いたくて
会えなくて
死にたくて
嘘をついて
泣いていて
頭を横切る黒い先生は
不幸と絶望を投与する
トんでいけ
ポップで
キャッチーな坂を
転げ落ち
はじまるよ
本当のサイクリング