詩人:野上 道弥
街には気の早いアヴェ・マリアが流れてて
ほんの少し前まで暖かく
まだ秋が負けないように頑張っているのに
港には光に溢れた
青色のツリーがあった
その前に座って ただ 何をするわけでもなく
あなたの声が聴こえたかのように
やっぱり声が聴きたくて
ツリーの周りを目を閉じて一回り
もし この場に貴方がいたら
何て言うのかしら
何をしてくれるのかしら
そっと目を閉じて
キスをせがむように
爪先立ち
青色の影だけは
私の影にキスをくれるのに
私は一人で空回り