詩人:しゅんすけ
自転車にも慣れて
トンネルの天井を見ながら走っていた
沢山の染み
一つ一つはなんの意味もないただの染み
それが重なりあう事で
自然を感じた気がした
そこに芽生えたのは恐怖とも緊張感ともつかない
曖昧な感情
まるで
私を正しい道へ導こうとする
母の言葉のようであり
また
頑な私に対して
雄弁な沈黙を差し出した父のようでもあった
すぐにトンネルの天井は途切れ
やっと雲のきれた夜空が展がる
そこに望む欠けた月は
その欠けた部分を待っているかのように
白く輝いていた
まるで私の帰りを待つ
君のように
君の笑顔が月に重なる
私は前を向き
君の家の方へと
力強くペダルを踏み込んだ