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詩人:未知
すべては、いつか弾けてなくなると
知っていたならあのときもっと
その瞬間を、生きただろう
弾け飛んだあとで、初めてやっと
自分は生温い泡の中にいたと。解った
井の中の蛙で、箱庭の夜顔で
いかに自分がくだらない生き物か
ちっぽけで、無価値で。その癖高慢な
自意識過剰な子供であるか
なぜか尖って、触れる者みな突っぱねて
永い思春期をこじらせて。
様々な感違いを。しつづけていた
ほら見ろ。とほくそ笑み
「さもありなん」と君が吐き捨て去った
その温もりこそ
そこにしかない囲いだったと
失って今初めて、その尊さに焦がれる