詩人:凜一
なにもないところに行きたいけど
独りではいたくないんだ
目覚めるのが嫌で
眠るのが嫌だった
見上げる空はいつも曇っている気がした
「寂しくないよ」
毎晩何時間も電話して呟いた
誰かにあいたくて出掛けた夕暮れに
誰かとすれ違ったら逃げ出したくなる自分がいた
「独りにしないで」と叫ぶには誰もいない場所が必要で
「生きているんだ」と証明するには死が必要だった
「寂しくないよ」
何十回も呟いた
「寂しくないよ」
イコール
「寂しさに気づいてよ」だと何故解ってくれないのと泣いた
生でもなく
死でもなく
ただ無を望んだ
「ここにいるよ」
自分が何処に居るか解らないくせに
「ここにいるよ」
それでも叫びたかった