詩人:evans
何気ない風景
日常生活の風景
何気ない出来事
普段の出来事
それは
ときに
いとも簡単に
見過ごして
流してしまい
無視してしまい
通り過ぎてゆく
2007秋
台風が過ぎた
9月二度目の
日曜日
残暑厳しい
東京の下町は
少し秋風吹いて
陽が降り注ぐ中
トンボを見つけた
我が家の
玄関前に
かかる鉢植え
いつもは
何気に通り過ぎる
当たり前の風景
でも
見つめてみたい
心を止めて
見つめてみたい
そこには
秋の始まりという
自然の営みが
厳かな生命の儀式が
一幅の名画のように
感じられる
そこには
厳然と家を守る
母の姿がある
母の生きざま
というドラマが
そこにはある
鉢植えの中に
厳然と姿がある
還暦を過ぎて
五年という
歳月を生きる
強き母の姿が
何気ない風景
それは
感謝へと変わり
やがて
芸術となって
人々に伝わりゆく
(2007.9.9)