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詩人:中村真生子
中国山地の山々を仰ぎ
宍道湖や平野を見下ろす山の頂に
「田の字」と「一の字」の柱の跡あり。
「田の字」には9本
「一の字」には5本の穴。
東側に並ぶ
「一の字」の5本の柱穴に
北から南へ、南から北へと歩む
日の出の往来を思い出す。
両端は夏至と冬至
真ん中は春分と秋分
その間は
立夏と立秋、立春と立冬か。
弥生の人々は
ここで祈りを捧げたのか。
山々に神や祖先を感じ
水田を眺めながら
太陽に日々の暮らしを託して…。
三つの環濠を越えて
頂に登れば
周りには今も変わらず
人々の崇めた山があり
平野には人々の暮らしがあり
空からは陽の光が降り注ぐ…。